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用語集凡例

  1. 本書では医学物理を中心とした学問領域において使われている用語を、「英和編」では ABC順に、「和英編」では五十音順に配列している。日本語の配列については、濁音(例、「ば」)、半濁音(例、「ぱ」)は、この順で清音(例、「は」)の後においた。すなわち、(はり→ばり→ぱり)の順。促音(例、「っ」)、拗音(例、「ょ」)は、直音の後においた。すなわち、(つ→っ)および、(よ→ょ)の順。長音符は「ー」は、五十音の最初に置くものとした。また、「和英編」の中では、語頭が英数文字で始まるものについてのみ、最後にABC 順に再掲している。略語などを検索する場合はこちらの方が便利と思われる。
  1. 本書では語彙が頻出する領域を以下の6分野に分け、示している。
    • 情報[情] 数学(画像再構成を含む)、情報、コンピュータを中心とする領域
    • 治療[治] 放射線治療、医学、医療統計、生物を含む領域
    • 物理[物] 物理学、化学、電子工学などを含む領域
    • 測定[測] 放射線計測を中心とする領域
    • 診断[診] X 線診断、核医学、MR、超音波などの画像診断および映像化技術
    • 防護[防] 放射線防護を中心とする領域

これらの分野表示は重複もあり分類は厳密ではないので、あくまでも目安としてご利用ください。

【例1】 和英編 空気カーマ air kerma [治測]
治療と測定の分野でよく使われることを示している。
  1. 語彙の末尾につけられた( )内の以下の文字は、語彙の簡単な説明を示す。
    • 注 注釈 (頻出する注については 注1~注7として次頁に示す)
    • 単 単位名
    • 規 規格、プロトコル名
    • 定 定義された語彙
    • 組 組織、委員会名
    • 病 病名、病態名
    • 独 ドイツ語から派生した語彙
    • 法 法律関係用語
    • 商 登録商標名、商品名

→ 誘導(正しい語彙を示す)

【例2】 英和編 Bq ベクレル [物測診](単)
この語彙が物理、測定、診断領域で用いられている単位であることを示す。
【例3】 英和編 PTV 計画標的体積 [治](定)
この語彙が治療の領域で用いられている定義語であることを示す。
【例4】 和英編 軸外線量比 OCR [治]→OAR
軸外線量比の英訳(略称)はOCR として用いられている場合があるが、正しくはOAR であることを示している。
  1. 英語の略語の慣用的読みなどは語彙中に( )を付して明示している。
【例5】 英和編 ALARA(アララ) as low as reasonably achievable [防]
ALARA の慣用的な読みは、「エーエルエーアールエー」ではなく「アララ」と発音することを示している。
  1. 「~graphy」は「~撮影」、「~imaging」は「~撮像」、「~image」は「~画像」とする。
  1. 米語表現とし、ドイツ語などを原語とする語彙ではウムラウト等は使わないで、英語表現にかえる。ö→oe ü→ue ä→ae 等。
  1. 「~法」については語彙の使用頻度が低い場合は、「~」とするが、頻度が高い時は、「~法」を残す。
  1. 誘導については、①過去に使われていた語彙と同義で、新しい語彙に変わった、②過去に使われていた語彙が不適切で、正しい表記に直す、③過去に使われていた語彙の概念がなくなって語彙もなくなり、新しい概念の異なる語彙が使用される、等が対象になる。
  1. 「~的」の表現については、的を省略できるものは省略する。「~学」や「~性」についても意味が変わらない限り省略する。例えば、「生物学的半減期」は「生物半減期」となる。
  1. カタカナは慣用表現(あるいはその関連学会の使用表記)で行う。例えば、photodiode に対し「ホトダイオード」ではなく「フォトダイオード」。また、発音にこだわった表記とはしない。例えば、decision tree に対し「ディシジョントゥリー」ではなく「ディシジョンツリー」。
  1. 「型」は器型、木型、金型のように型(かた)そのものを意味する時に使用し、「形」は形式、様式、外見、形状などを意味する時に用いることを原則とする。例えば、「単光子放出形CT」。
    • ただし、原子力関係用語には後者の意味であっても、慣例上、「型」とする。
  1. エックス線については、日本語では「X線」、英語は「x-ray」と表記した。
(注1)~(注7)の説明
  • (注1) attenuation:「減衰」 が本来の対応であるが、「減弱」という語も慣用となっているのでそのままにした。
  • (注2) 日本語で一般的に用いられている直接撮影(レンズなどの光学素子を介さずにX 線像が検出器で記録されるもの)、間接撮影(レンズなどの光学素子をを介すもの)に対応する英語は存在しない。そのような事情から、直接撮影に相当するものはradiography、間接撮影に相当するものはfluolography とした。
  • (注3) 有病正診率、無病正診率、無病誤診率、有病誤診率などの語は医学における診断を例にとって便宜的にこの概念を説明したものであり、正式なものではない。正しくは、それぞれ真陽性率、真陰性率、偽陽性率、偽陰性率である。
  • (注4) 直線加速器の英訳はlinear accelerator(略称 linac)であるが、慣用の略称としてリニアックという表現が用いられている。
  • (注5) 血流イメージングといわれている多くの検査は灌流(perfusion)のイメージングであるが、慣用になっている表現はそのままにした。
  • (注6) ratio は一般的に「比」、「率」と訳され、分母と分子が排他的なのに対して、fraction「分画」,proportion「割合」では、分子の数が分母にも含まれている点に注意。一方、rate「率」は時間の概念が入り分母と分子が同じ次元ではないのが一般的。例えば、信号対雑音比(signal to noise ratio)は(信号)/(雑音)で両者の大きさの比を単に表しているのに対し、cardiac ejection fraction は(左室拡張末期体積-左室収縮末期体積)/(左室拡張末期体積)として求められるので心駆出分画あるいは心駆出分率とすべきである。また、照射線量率は単位時間あたりの照射線量を示すものでありexposure rate となる。この場合、分子は(照射線量)、分母は(時間)となり次元が異なる。
  • (注7) 磁気共鳴の用語で使われる緩和時間などは物理量であり、T1,T2 などと1字で表し、1,2 は添え字で表記すべきである。TE, TR,TI なども同様である。